「ディフィックキャット:アルティメットXの謎」
著者:マリア・ダナマ 日本語翻訳:もりりん
第5章
そして6時間ほどさまよった後に、懐中電灯のバッテリーは切れた。
「まぁ朝までもつかと思っていたのに」リノンは言った。
「んー、僕もそう思っていたが・・」ハリーは言った。
ハリーは自分のパックからソーダとポテトチップスの袋を取り出した。
ハリーは「ここで」と言い、それらをリノンに手渡した。「リノン、きみが
お腹が減ったかなと思って・・・」
リノンはそれらスナックを食べ、ハリーを見つめて言った。「ハリー、
あなたの分は?」
「大丈夫。私はお腹は空いていませんから」ハリーは答えた。
「ハリー、もしお腹が空いていたら一緒に食べない?」リノンはハリーに申し出た。
「わかったよ」ハリーは受け入れた。
数分の静寂が過ぎた後、ソーダを一口飲んでリノンは言った。
「知っているわ。ハリー、あなたが一緒にいてうれしい・・。ここで腰を下ろして
こうしているのもそう悪くはないわ。もしあなたがここにいなかったら何をしでかすか
わからないわ」
「本当かい?」ハリーが尋ねた。
「うん」リノンが答えた。
それからハリーはリノンにキスをしようと身体を傾けた・・・。二人の唇は触れ合った・・・
と思いきや、巨大な青い目玉が二人のそばで光り出したではないか。
リノンは絶叫し、ハリーの腕をぎゅっとつかんだ。そしてハリーの後ろへと身を潜めたリノン。
「何なのよ?!ハリー!!」リノンは尋ねた。
「もしかして・・・ゾイド・・・」ハリーは答えた。
リノンが見上げて、その生物へと近づいた。
そのゾイドは力強いうなり声をあげていた。
リノンは後ずさりし、またもや絶叫。
「そこにいてください」ハリーは言った。「私がなんのゾイドが調べてみますよ」
ハリーはゆっくりとその大きな瞳の前へと近づいた。ハリーがゾイドのアーム内に立ち入ると
コックピット部分が開いた。
「これはアルティメットXかもしれない。アルティメットXはパイロットを選ぶ・・・
もしかしたらそのゾイドはハリーをパイロットとして認めたのかもしれない・・・」リノンは当惑気味に言った。
「僕はお前(ゾイド)を認めます」
突然、ゾイドの本体から光が放たれ、洞窟内を照らし出した。
「うわー、すごい明るいわ」リノンは言った。
ハリーは言った。「たぶんこのゾイドはパイロットを試しているんだと思う。たぶんこいつなら
なにか知っているのかも」
「オッケー。でも注意して」注意を促したリノン。
「リノン。来てください。これを見てください」ハリーはコックピットから叫んだ。
「これは何?」ハリーと一緒にコックピットに足を踏み入れる際、リノンは尋ねた。
「このゾイドの名前は『ディフィックキャット(注釈:神聖なる猫の意味)』・・・
アルティメットXの中でも究極だといいます。これは黒ヒョウを元に作られ、格納式の翼を備え、
走行時速550マイル(時速約880キロ)の最高時速を誇り、地上ゾイドとはいえ水中に潜る能力(水中での
戦闘能力もあり、深さ3000フィート(約90メートル)まで潜水可)を兼ね備え、さらに時速
500マイル(時速約800キロ)の最高速度で飛行することができる。。そして武器はパーティクルキャノン(粒子砲)を
装備していて、ライガーゼロパンサーユニットに装着の大砲やストライクレーザークローを
しのぐ威力を持っており、この武器は「アンシェントX」と呼ばれる。それは実戦で
使用すると半径100マイル(約160キロ)にいるすべてのゾイド(ディフィックキャットと同じチームのゾイドはのぞく)の
コマンドシステムをフリーズさせることができるという」
「それはすごいわ・・」リノンは言った。
ハリーが尋ねた。「ディフィックキャット、ここから抜け出す方法を知っているかい?」
そう言うと、突然コックピットの扉が閉まった。そしてコックピット内の壁面から新たな席が出てきた。
「座っていいってことね」リノンが笑った。
「そう思ってください」ハリーは言った。
そしてハリーとリノンはコックピットに座り、ベルトを着用した。
ディフィックキャットは自分たちが歩いてきて落ちてしまって立ち往生していた穴から
走り出した。アルティメットXは翼を広げて長いトンネル内を上昇して跳んでいった。
トンネルを抜けるとうなりをあげながら時速550マイルの速度で走り出しました。そしてブリッツの面々が待つトロスファームへ。
そして頭を下げ、コックピットが開いた。ハリーとリノンはそこから飛び出した。
「君たちどこに行っていたんだい?」トロス博士が尋ねた。
「話せばながくなりますが、夕食時にでも説明しますよ」リノンが答えた。
そしてチームブリッツの面々とハリーは夕食をとることになった。
第6章
リノンとハリーが食事中にこの一部始終を説明した。もちろんキスしたことは互いに話さなかった。
その話が終わってから、「そうだ、ビット。この私がこのアルティメットXを操作すれば
チームブリッツにも入れるだろ?」
「んー、まぁ・・そうだな・・・」ビットが言った。
「おーっ!!」ハリーが喜んで叫んだ。
「問題なければ・・・」とリノンが喋り終わる前に、突然ドアが開いた。
バックドラフト団のチームモルトの2人にエスコートされマリー・チャンプが部屋に入ってきた。
「ここで待って」マリーはエスコートしている2人に話した。
「はい、マリー副会長!」彼らは同時に返事を返した。
「はぁ?!姉さん、チームモルトの副会長なの?!」ハリーが尋ねた。
マリーは笑って答えた。「単にチームモルトだけじゃないですわ。バックドラフト団全部よ」
ハリーはショックの表情を浮かべ、座り込んだ。マリーの話は続いた。
「で、パパが会長なのよ。洞窟でなんか発見したっていうのと、あなたがチームブリッツで
なんか友情ごっごをしているって聞いて、あなたとアルティメットXをバックドラフト団に
引き抜きに来たのよ」
リノンが飛び上がってマリーの方に詰め寄った。
「なんでハリーがバックドラフト団に行かなきゃいけないのよ?!」リノンは尋ねた。
「うーん、あなたがハリーをここにとどまらせようとしているのは・・何か・・・」
マリーはリノンの頭からつま先を見た・・・「んー、あなたって風変わりね」
リノンはすかさず言い返した。「どういう意味よ?!」
「変わり者ねぇ・・・てことよ」マリーは言った。
ハリーはすかさず二人の間に割って入った。
「お二人とも、今バトルする必要はないよ。この件についてじっくり話し合おうではないか」
「ノー!」二人とも叫んだ。
「なんだよ、もういいよ。僕はこのディフィックキャットと出て行くよ。もう構わないでくれ!」ハリーは叫んで、外に出ようとした。
「ハリー!」ビットが呼んだ。
「待てよ。オレとライガーゼロも一緒に行くぜ」ビットとハリーはドアを出てそれぞれのゾイドに乗り込み、遠くの山へと走り出した。
「何考えているんだよ?ハリー?」ビットが尋ねた。
「なにもかにもだよ!」ハリーが答えた。
「頭を冷やせよ。ハリー」ビットが言った。
「頭を冷やせ?どう頭を冷やせって言うんだい?このオレがバックドラフト団に入ったら
オレはリノンのことをあきらめるしかない。もしオレがチームブリッツに入ったら姉さんとパパには
もう口出しさせない。それにこのディフィックキャットの性能を考えれば、ライガーゼロと
共にやりゃ、チームブリッツはすべてのSクラスのゾイドバトルに勝って、常に
バックドラフト団をおさえることができる。でもベガのバーサークフューラーと一緒に
戦うとなれば、バックドラフト団はゾイドバトル連盟を転覆させ、ゾイドバトルを引き継いで、
チームブリッツを潰し、すべてのゾイドをぶんどるだろう」
「んー、それは考え過ぎじゃないのか、ハリー」ビットが答えた。
「ビット!どういうことだよ?」ハリーが尋ねた。
「あっ!サンドスティングレイだ!」ビットが答えた。
突然、ビットのコックピットのスクリーンにウインドウが開いた。
「よう!また会ったなぁ」
サンドスティングレイのリーダーが言った。そして不気味な笑みを浮かべた。
「お前ら復活しなきゃいいと思っていたのに・・・だったらやってやるぜ!」ビットが叫んだ。「で、オレの友人のハリーの方がもっとすごいぜ。なぁハリー」
ビットが彼らを攻撃し始めたと共にハリーも粒子砲とバスターキャノン砲をぶっ放した。
この何分かの間にバトルはあっけなく終了し、サンドスティングレイのゾイド(シンカー)の
破片が砂漠に散乱していた。2匹のアルティメットXは堂々とそこに姿を現していた。